04:愚か者は騙せない

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「でもさ、ジキルくん」 軽く肩をすくめて、サキさんはコメントを続けた。 「幸運の蜘蛛とか、塔とか…、そんなん聞いたこともないんだぬ~。アレじゃない?ほら、ジキルくん、アレ見てたんじゃない?なんだっけ…、オイルショック??」 お、オイルショック? 「あ、オイルショックじゃない!白昼夢だった!」 全然違うし!! でも、夢なんかじゃなかったぞ?はっきり覚えてるもん。 あの蜘蛛も、 見上げた白銀の塔も、 広いエントランスも、 ケルベロスのド迫力も、 いなばちゃんのお尻も、 そして、 遠目に見た、あのサイファという名のドレスを着た金髪の女性も…。 何もかも、ちゃんと記憶に残ってる。 夢なんかじゃ、ない。 「じゃあ、ジキルくん。力を与えられた…って、それはどんな力だったのかぬ?」 えと、それは…。 なんなんでしょ…? もごもごと言い訳じみた弁解をする僕に、サキさんは軽くウィンクを飛ばし、手を振った。 「マイページに戻ってみたら、案外なにかプレゼントが届いてるかもだぬ!確認してみるといいよ!まぁ、ジキルくんの白昼夢じゃなかったら、の話だけどぬぇ!」 あ、なるほど。 確かにイベントクリア報酬なら、マイページのプレゼントボックスに届くハズだよな…。 わかりました、そうします! サキさんはホントにもうログアウトするんですか? 「うん!用事もあるし、にっくき鶏つくねもいないしぬぇ!」 あ、サキさん。 なんだかんだ言って、つくねさんのことが好きなんですね? 「ちっ、ちっがうんだぬっ!今むしゃくしゃしてるから、八つ当たりできる相手が欲しかっただけなんだぬ!!じゃジキルくん、またあとでっ!」 あぁ、つくねさん。 とても残念なお知らせがあります…。 白い光に包まれログアウトを開始したサキさんを見送りつつ、僕は心でつぶやいた。 サキさんのほうが…、 デレが、上手です。
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