08:野良猫は怯まない

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アッシュさんの放った弾丸を、左方向への瞬間横移動で華麗にかわすヘイムダル。 もちろん、ノーダメージだ。 「ちっ!おい、アル!ギルチャで他のメンバー呼べや!」 「すでに呼んでますよ。サブマス以外は全員来れるそうです。エルとココの二人はあとおよそ1分35秒で到着します」 なんだか恐ろしく具体的な数字をもとに、アルさんがアッシュさんに報告を上げた。 サブマス…、ってのはかぼちゃ女さんのことだよな。あの人だけでも来れないとわかると少しホッとする。 なんせ僕、目の敵にされちゃってるもんな。 こんなタイミングで居合せられたら何をされるかわかったもんじゃない。 でも、ヘイムダルが守ってくれてるとはいえ油断は禁物だ。 結局のところ、フィールドにおける守護神関連のシステムは未だに謎が多い。 召喚条件もそうだけど、逆に召喚が解けるタイミングにしたって統一された明確なルールはないのだ。 プレイヤーが任意に召喚を解けるタイプの者もいれば、つくねさんの守護神・タナトスのように制限時間が決められていたり、はたまた一定のダメージを受けることで消滅するタイプの者もいる。 とりあえず問題は、だ。 ヘイムダルさん、威勢よく出てきてくれたのはいいけど…。 一体いつまで、こうやってアッシュさんたちの前に立ち塞がっていてくれるのか? 時間だけを稼いだって意味がないんだ。 いやむしろ、時間が経てば経つほど僕は不利になっていく。 あぁもう、いっそのことヘイムダルがアッシュさんたちを気絶させてくれれば…、その隙に逃げ出すことぐらいはできそうなのに! 『次はこちらからいくよ?』 他力本願な情けない僕を尻目に、ヘイムダルのクールな台詞が流れる。 相変わらず、守護神の台詞もバリエーションが豊かだな…、などとのんきなことを考えていたその瞬間、凄まじい速さでヘイムダルが動いた。 □■□■ ●攻撃 ヘイムダル→【サムライガンナー[♂]】 ★1085ダメージ! □■□■ あの巨大な角笛で殴りつけるのかと思いきや、低い態勢でアッシュさんの懐に飛び込んだヘイムダルが、そのまま左フックと右ストレートからの強烈な右回し蹴りを叩き込む。 この攻撃に、さすがのアッシュさんも後方へと吹き飛ばされた。 うわぁ、目隠ししたまま近距離格闘…!? ロキの『神堕とし』のような派手さはないけど、なかなかカッコイイぞ、ヘイムダル!
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