壱 -高校二年生はお忙しい-

10/81
前へ
/240ページ
次へ
それから名簿順に自己紹介をしていく。俺からすれば割とどうでもいいんだが、自分の前の人間にもなると流石に話を聞く。次が自分の番だからな。 「佐倉梓紗(さくらあずさ)です。ジョブは勇者で、部活には入ってないです。好きなものは……甘いもの……とか………よろしくお願いしますっ!」 拍手が湧かれる。……しかし勇者か。レアジョブを見てしまったな。 「ほら、次あんたの番よ」 俺はそんな勇者様に自分の番だと言われてしまう。ちゃんとわかってるが、やっぱ勇者に圧巻され、ぼーっとしてしまった。俺は立ち上がり、自分の自己紹介を始める。 「…佐原翼だ。ジョブはなし。趣味もそれと言って特に思いつくことはない。とりあえず、一年よろしく」 こんなのでいいだろ。世の中その程度だ。 しかし、俺が座ると、前からは睨まれ、後ろからは何やら変な視線を受けてしまった。 そしてそんな変な視線を向けていたそいつも立ち上がり、自己紹介を始める。 「清水真生(しみずまお)……です。今年からこの学校に転校してきました、勇者です……よろしくお願いします……」 ………あれ? 俺、勇者にサンドイッチされてる?
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加