壱 -高校二年生はお忙しい-

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地元にあるゲーセンは、中途半端に田舎である環境に関わらず、音ゲーは全機種揃っている、プライズの種類が豊富、レバーとボタンを使うゲームも沢山ある…と、中々良環境だ。わかる奴にはわかる。 兎にも角にも俺達は迷わず音ゲーコーナーへ行く。もはや迷うまい。 「お、サンブス空いてる。やろうぜ翼」 「いいけどちょい待ち。財布見当たらん」 俺はカバンの中を必死にまさぐる。こういう時やっぱ焦る。 ま、すぐに見つかり、良かったで終わったが。 サンブス…とは、サウンドブースタークロスの略称だ。これもやっぱり音ゲーで、なんと楽曲提供者は制作会社の音楽スタッフだけでなく、一般の素人も混ざっているのだ。一番曲のバリエーションのあるゲームと言える。 ちなみにこっちはビートマスターズよりも難易度は低めで、俺は現在全曲最高評価一歩手前あたりのスコアを出している。フルコンボはとても少ない。 「いい加減デラボクリアしてーなー」 「覚えりゃ楽だ」 デラボ……というのは、デラックスボンバーという曲の略称だ。割とどうでもいい。 とにかく俺達は金を筐体に放り込み、データカードを読み込ませ、適当にプレイする。……隼は本気らしいが、俺からすれば至極どうでもよかった。
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