壱 -高校二年生はお忙しい-

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「なぁ佐原、お前いつ最高難易度の曲フルコンボするんだ?」 「半年後」 「何故!?」 「いや、ほら俺ワンミスの曲あるやん?」 俺がノーツ1個分だけミスを出しフルコンボできないと悩んでいる曲……コスモプリズムは鍵盤のようなボタンの操作のテクニックが要求される曲だ。特に雪崩地帯と呼ばれる鍵盤の乱打は人々を苦しめると言われるほど。 しかし俺はそういうのが割と得意で、というか乱打は取れて当然レベルの考え方をしているわけで、そこは全てパーフェクト判定を取れるのだ。 問題はそこじゃない。なんかよくわからない同時押しで一個だけ外れるのだ。 それくらいならいけると意気込み、既に500円失っている。やりたくないと思っても仕方ないだろう。高校生だからな!社会人は自分の給料でアホみたいにやりやがる!マジでありえねぇその金よこせ! 「……佐原、曲始まってるぞ」 「あ?………やっべ。今から始めてお前に勝つわ」 「ざけんな!そうやって俺のやる気を削ぐ気なんだろそうなんだろ!」 「たりめーだ」 因みに、マジで勝った。やったぜ。 「……………………」 「何か言うことは?」 「………ないです」 隼は自身の敗北を素直に認めた。
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