壱 -高校二年生はお忙しい-

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「うぃっす隼」 「おう、おはよーさん翼」 俺と隼は適当な挨拶を交わすことから始める。どんな日であろうと、なぜかこの習慣だけは昔から続いている。ま、挨拶が適当でもしないわけじゃないから、当たり前と言えば当たり前だ。 「で、今日は何で呼び出したんだよ?」 「いや、お前に聞きたいことがあってさ」 「ほう、それはなんだ?」 「いや、イエローバーストの第二ボスの曲、スコアどのくらい出したのかなってな」 「それだけか?」 「それだけだ」 「………確かにこれは重要だからな。とりあえずアナザー譜面をレッドゲージで攻略したぜ。スコアははっきり覚えてないが、確かAAラインギリギリだったな」 「は?お前もうアナザー譜面解禁したのかよ!しかもレッドAAクリアって!」 さて、今我々が話しているのは巷でも大人気の音ゲー、「ビートマスターズ」の事だ。俺も隼もそれをやりこんでいて、段位は俺が十段、隼が八段となる。やり込みまくった結果だ。 このゲームは今イベントの真っ最中で、その名前が「イエローバースト」。プレーした時のスコアの合計点を攻撃力にして、悪者をやっつけて隠された曲を解禁する………というものだ。 で、その解禁される二曲目が結構楽しい曲で、ムービーも面白いから俺達は気に入り、結構な回数選曲している。その結果、俺は隠し譜面であるアナザーという難易度を出現させた。因みに出現させる条件は、難しいとされるエキスパート譜面でランクをAAAにし、且つ3回ミスするだけでゲームオーバーになるレインボーゲージというオプションをつける必要がある。 よーするに、3回ミスせずにとにかく高いスコアを叩き出せば良い。簡単じゃないけど。
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