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 いつだってめいっぱい笑っていて、いつだって自由奔放。何を考えているのかさっぱりわからない。それが嫌かと言ったらそんなことはない。それは彼女が幼馴染だからだろうか。  苦しい・・・暑い・・・なんだろうこの息苦しさは・・・ ハッハッハッハ・・・・ 生暖かい空気が妙にリズミカルに顔をなでる。涌井航平は息苦しさで目を覚ました。 「・・・はっっ」 視界には3匹の飼い犬と幼馴染の鈴井蘭がいた。彼女達が寝ている航平の上である。生暖かさの原因は飼い主の顔に寄り添って眠る愛犬のコーギーの荒い息だった。 「・・・くっ・・・蘭、おい、お前は人様の上で何をしてるんだ」  苦しさに耐え、声を振り絞る。 「んー、おはよう航ちゃん」  蘭は淡いブラウンのくせ毛を整えながら伸びをするとムクリと起き上がる。 「航ちゃんの上は暖かいからつい」 「俺は己のふとんか・・・」  軽くなった体を伸ばし、やれやれ、とベッド脇の机の上、目覚まし時計を見ると8時20分。始業まであと10分である。ちなみに家から学校までは自転車で10分だ。  一瞬航平の思考が停止した。 「あ、目覚まし鳴っていたから止めといたよ」  にこにこしたまま蘭は次の瞬間、愛犬と共にをベッドから払いのけられた。 「痛い!ひどい航ちゃん」 ベッドから落ちた蘭が文句をいうがその顔は笑顔で、楽しんでいるようだ。 「走るぞ、蘭」  のんびりしたはーいという返事が返ってくる。蘭はいつだってこうだ。  自由でいつも笑ってて、いつも俺を振り回し弄ぶのだ。  とりあえず幼馴染を怒るのは後、パジャマのタンクトップの上に制服を羽織って自転車にまたがる。蘭は決まり切ったスタンスで荷台に飛び乗る。今日はいつもよりスピードをあげる。 もともと物静かで怒ることの少ない航平ではあるが、ハイスピードで軽やかに家の目の前の坂を下ると、梅雨とは思えない心地よい朝の風に吹かれテンションも上がり、学校へつく頃にはいつも怒ろうとしていたことを忘れてしまうのだった。
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