第二章

2/5
107人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
あれから一ヶ月、俺は警察の取調室にいた。 容疑は野村礼美ちゃん殺害死体遺棄。礼美ちゃんの骨が気になり、神戸から山口に行き、深夜施設周辺を彷徨き警察官に尋問され、つい自白してしまった。 「鈴木一郎、お前が殺ったんだな」 「はい、俺が殺りました。礼美ちゃんは俺に懐いていた。俺に心臓をくれるって言ったんだ」 「心臓?」 「俺の心臓は病気だから。健康な心臓が欲しかった」 「健康な心臓?」 俺は精神鑑定で異常を認められ、医療少年院送致になった。 俺が精神病? 胸の傷は事故で出来た傷? 心臓移植はしていない!? 嘘だ! 小夏が言ったんだ。 『お兄ちゃん』って、そう呼んだんだ。 『お兄ちゃんが殺したのよ』毎日毎日そう言ったんだ。殺害方法も、遺棄方法も小夏が教えてくれたんだ。 俺の心臓を奪うために、もう一人の鈴木一郎と手を組んだと小夏が教えてくれたんだ。 「俺は鈴木一郎の心臓になったんだ。俺は小夏のお兄ちゃんなんだ。俺は鈴木一郎を喰らう!全てを奪う!」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!