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およよ? と首を傾げる『慈悲ウサギ』。
ちなみに『霧乃』と言う奴はご存知の通り『知りたがり』の事だ。
遠山 霧乃(トウヤマ キリノ)。
「しかし、黒兎よ。ワシも貴殿の意見が聞いてみたいのじゃ。」
言ってはくれぬかの?
知っている前提での問いかけ。
俺はBGMが聞こえなくなったのを確認すると窓から視線を外した。
「36/50。『慈悲ウサギ』は此処に一匹で来たんじゃないよね。」
わざと。
わざとウサギ四匹と狼二匹でここまで来た。
「狩られちゃったね ……。」
何処と無く呟く。
『四天王ウサギ』はけして助けない。
手を貸すだけ。
例え『四天王ウサギ』のせいで狩られてしまっても、助けるギリはない。
逆に言えばギリがあれば助けると言うこと。
ギリが有ればね。
「誠にワシは黒兎が嫌いじゃな。」
「本人目の前に酷くないかな。傷つきはしないけどね。」
少し笑顔を崩した『慈悲ウサギ』は俺に一礼して教室を出ていった。
気が付けば外は赤く彩られ、夕日が綺麗に風と一緒に目に入ってきた。
黒兎は笑みを作り、窓から下を見下ろす。
ウサギが一匹、三匹の死骸のウサギに囲まれて涙を流し、夕日を見つめていた。
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