入学式 - 当日 -

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   なにせ、その答えは、 「ん?あぁ、別にー?朝からなんか分厚い本読んでる子がいるから、何読んでるのかなーと思ってさ。いきなり取っちゃってごめんよ。返すね、はいどうぞ」  なんてものだったんだから。  確かに揺れた、確かに驚いた。  普通に揺れた、普通に驚いた。  けれど、僕はそれで目を丸くしたり、同様したりするような、可愛い奴じゃない。可愛い奴には、なれない。素で周りに受け入れられるような、奴にはなれない。  事実、本を渡された時に、その女子の指と僕の指が触れたが、特に、何も思わなかったし。  そうして手元に戻って来たその本を、僕は受け取って、さっきまで読んでいたページを、なんとなくの要領で開いて置く。  ……勿論、さっきまで僕が読んでいたページとは、大幅に異なるところだったけど……。  ……まあいいか。  この女子が去ったら、別の人の所に行ったら、また改めて読もう。
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