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空重澪。カラカサレイ。
それが、僕の名前だ。
まごうことない、この僕の名前だ。
まるで中身の無い。
まるで空っぽに空っぽを重ねた僕の名前。
「空重、澪。……うん、空重澪くんか。宜しくね?澪くん」
そう言って女子は……、晴咲さんは、開いた手を僕に差し出した。
……握手、だろうか……。
「あぁ……うん。こちらこそ、宜しく。晴咲さん」
結局。僕は握手として、晴咲さんの手を形式的に、とった。
本当は他人の手を取ったり、触ったりだなんて、できることならしたくないしされたくない。
……どこを触って、何をしたか、わかったもんじゃないんだから。
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