入学式 - 当日 -

4/14
前へ
/17ページ
次へ
   その女子は溌剌としていて、僕からしてみれば、すこし……すこしだけ、苦手という部類に入る女子だった。  制服を着ているにも関わらず、個がちゃんと確立しているように見える。  僕とは、正反対のような――……  まあつまりを言うなら。  明るい女子、なのである。  ……いや、決して明るいとは限らないのだけれど。誰しも人には裏があるって言うし。  でも。  少なくとも、僕の目には、明るい女子だと見えたのだ。良く「どこを見てるのか分からない」と言われる、僕の、空の目には、溌剌な女子だと、映ったのだから。 「ひゃあ、難しそうな本だね」  ……そして、ついでを言うなら、その言葉が、僕の本をいきなり……なんの前触れもなしに取り上げた、そんな明るい女子の呟きである。  
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加