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あまりに何度もそんな流し読みを繰り返しているものだから、僕自身、僕自身が落ち着かずに、ふと、何気なく声を掛けた。
「……興味あるの?」
と。
あくまで疑問系に、あくまで他人を突きはねるような調子じゃなくて、あくまで興味があるかのように、あくまで――無機質にならないように。
『辞書を何度も流し読みする自分に興味を持った男子』であろうと、どこにでもいる、どこにでもある、どこまでも平凡な一風景になるように、そんな感じに。
……正直本当は、辞書にもこの女子にも、印象を受けただけで、どうしようがなにをしようがどうでもいいけれど。
だけど、それじゃあ、駄目だろう?
きっと僕に興味はないだろう。多分、周りの目に興味があるのだろう。自分を見る、周りの目を――と。
そう高をくくっていたが、僕の何気ない、何の気もない質問に返ってきた答えによって、僕は少なからず、驚くことになった。
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