3人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、数分くらい過ぎた後、すすり声が聞こえてきた。
俺はめんどくさい事になった…と思い、俺は自分の部屋に帰ろうとした。
だが、後ろからガッシリと掴まれてしまった。
「だってー!」
母さんは、大人とは思えない大泣きで俺にすがってきた。
「おい…何してんだよ…離せよ母さん。」
「怒ってるの…?怒ってるのね!ごめんなさい!さいちゃん!これには理由があるのよ!!」
そう言って女の力とは思えない強さで俺を離そうとはせず、ペラペラと喋りだした。
本当は、そこまで怒っているつもりはなかったし、いつものことか…くらいにしか考えていなかった。
この二人は中学生の頃から付き合っていたらしく、当時からバカップルだったらしい。
それが何年も続き、高校を卒業した直後に結婚し、そしてその二年後に俺が産まれた。
そのバカップルが今も絶賛継続中というわけだ。
そのバカップルさにはいいかげん慣れたもので、もう到底の事では驚かなくなった。
まぁ、驚いたとしても顔にでないから気付かれないのだが。
そんな事を考えていると、いつの間にか母さんの話は終盤に差し掛かっていた。
「だからね!決して一緒にいたいとか、そういうのじゃないのよ!」
「あー…。ハイハイ。分かったから。」
俺はめんどくさくて適当に相槌を打った。
「本当に?」
「本当だって…。で?俺はどうするの?」
「えっ?」
「だから…母さん達が海外に行ってる間、俺はどうしてればいいのかって聞いてるんだよ。どうせ長期になるだろうし、この家で一人暮していくとして、お金とかさ…。」
「あぁ!そのことなら大丈夫。ちゃーんと考えてるから!」
その、笑った母さんの顔がなんだか嫌な感じがした。
最初のコメントを投稿しよう!