プロローグ

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そして、数分くらい過ぎた後、すすり声が聞こえてきた。 俺はめんどくさい事になった…と思い、俺は自分の部屋に帰ろうとした。 だが、後ろからガッシリと掴まれてしまった。 「だってー!」 母さんは、大人とは思えない大泣きで俺にすがってきた。 「おい…何してんだよ…離せよ母さん。」 「怒ってるの…?怒ってるのね!ごめんなさい!さいちゃん!これには理由があるのよ!!」 そう言って女の力とは思えない強さで俺を離そうとはせず、ペラペラと喋りだした。 本当は、そこまで怒っているつもりはなかったし、いつものことか…くらいにしか考えていなかった。 この二人は中学生の頃から付き合っていたらしく、当時からバカップルだったらしい。 それが何年も続き、高校を卒業した直後に結婚し、そしてその二年後に俺が産まれた。 そのバカップルが今も絶賛継続中というわけだ。 そのバカップルさにはいいかげん慣れたもので、もう到底の事では驚かなくなった。 まぁ、驚いたとしても顔にでないから気付かれないのだが。 そんな事を考えていると、いつの間にか母さんの話は終盤に差し掛かっていた。 「だからね!決して一緒にいたいとか、そういうのじゃないのよ!」 「あー…。ハイハイ。分かったから。」 俺はめんどくさくて適当に相槌を打った。 「本当に?」 「本当だって…。で?俺はどうするの?」 「えっ?」 「だから…母さん達が海外に行ってる間、俺はどうしてればいいのかって聞いてるんだよ。どうせ長期になるだろうし、この家で一人暮していくとして、お金とかさ…。」 「あぁ!そのことなら大丈夫。ちゃーんと考えてるから!」 その、笑った母さんの顔がなんだか嫌な感じがした。
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