季節外れの嵐

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その日の朝、雨風が激しく窓を叩き付ける音で千波は目を覚ました。 目を擦りながら半身を起こし、薄くカーテンを開ける。 (…………うわぁ) そこから見える木々の葉が、風に煽られて激しく揺れていた。 携帯を確認すると、いつも起きる時間より少し早い。 カーディガンをパジャマの上に羽織り、千波は一階の茶の間へと降りた。 すぐさまテレビを点けると、ちょうど台風情報が流れていた。 『………二日に太平洋沖で発生した台風21号は、強い勢力を保ったまま、今朝未明に高知に上陸し……』 膝を抱えたままニュースに見入っていた千波は、チラリと窓の外に目を向ける。 11月に入ったというのに、大型台風が日本を直撃するとのことで、昨日からテレビではこのニュースで持ち切りだった。 古い木造の家がガタガタと音をたてて揺れるたび、千波はビクッと体を震わせる。 (………仕事やけど、どうやって行こうかな。……傘なんか役に立ちそうにないな……) 台風の進路図を見たところ、今ちょうど台風の中心が淡路島をすっぽり覆っているような状況で、いくつも警報が出ている。 かと言って学校のように自動的に仕事が休みになる訳ではないので、千波は立ち上がって準備を始めることにした。  
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