ゆく年、くる年

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それから5分ほどその場で立ち話をした後、二人は別れた。 買い物を終えた陸は、そのまま台所へ向かう。 台所では友美が一人でサラダの盛り付けをしていたが、陸が入ってきたことに気付くと、手を止めて笑顔になった。 「お帰りなさい、陸さん」 「………ただいま」 短く答え、陸は買物袋を友美に手渡した。 「ああ、ありがとう」 「いえ」 レシートとお釣りを机に置きながら、陸は遠慮がちに友美に声をかけた。 「あの、友美さん」 「はい?」 「その……うちも、クリスマスパーティーとか、やりますよね?」 お釣りを財布にしまっていた友美は、キョトンと首を傾げる。 「ええ、もちろん。……もしかして陸さん、予定ある?」 「いえ、そうじゃなくて……」 言い淀んだあと、陸は思い切って口を開いた。 「その……。千波さんを招待したんですけど、よかったですか?」 「………………」 友美はほんの一瞬目を丸くしたが、すぐに笑顔になって頷いた。 「もちろんいいわよ。人数多いほうが楽しいし。……陸さんも嬉しいわよねぇ?」 「……………」 笑顔で顔を覗き込まれ、陸は赤くなって友美から目を逸らす。 この時になってようやく、わざと友美が合コンの話を陸に聞かせたり、わざわざ千波が帰る時間に買い物に行かせたのだということに気が付いた。 (………なんか、手の平で転がされてるよな……) おそらく友美には、陸の気持ちなどとっくにバレていて。 端から見ていて、歯痒い思いをさせてしまっているのだろう。 いつもは放っておいてほしいと思うところだが、この日ばかりは友美の老婆心を陸は素直に有り難く思った。  
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