ゆく年、くる年

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※※※※※※※ 翌朝、コーヒーを運んできた千波は、開口一番陸に謝罪を述べた。 「あの、昨日はすみませんでした!」 いきなり謝られ、陸は目を丸くして千波の顔を見つめる。 「え…。何がですか?」 「その……カッとなって、偉そうな口をきいてしまって……」 「………ああ」 そんなことか、と陸は笑顔になって首を振った。 「昨日は僕も悪かったですから。ろくに事情も聞かずに勝手なことを言ってしまって」 「……いえ。陸様には色んなことでご心配をおかけしてるので、本当に申し訳なく思ってます」 悄然と呟いた後、千波はペコリと一度深く頭を下げた。 それからゆっくりと顔を上げる。 「あの……昨日、友達にちゃんと断りました。……合コン行けないって」 「…………あ」 陸は少し心配げに千波の顔を仰いだ。 「角、立ちませんでしたか?」 「はい。少し呆れてましたけど」 昨夜の圭子との電話を思い出し、千波は苦笑する。 「今回は別の友達誘うからって。……そのかわり、物凄い掘り出しものがおっても知らんでーって、言われました」 冗談混じりに明るく笑う千波を見て、陸は内心ホッとする。 この様子を見ている限り、本音は合コンに行きたがっていたということもなさそうだ。 椅子ごとグルッと千波に向き直り、陸は穏やかに微笑みかけた。 「楽しみですね、クリスマス」 そう言うと、千波も嬉しそうに笑顔になって頷いた。 「─────はい」 本音を言えば、千波と二人きりで過ごしたいところではあったが。 この笑顔を見ていると、これでよかったのだと陸はそう感じていた。  
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