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独占欲を自覚したのは、千波に長年付き合っている彼氏がいると知った時。
自分を理解してくれた千波が自分のものではないという事実に、激しく胸がざわついた。
自覚してからは、ただただ葛藤の日々。
恋をして、また傷付きたくなくて。
………でも失いたくなくて。
その気持ちを認めたくなくて、逃げてばかりいた。
──── そんな自分の弱い部分を、全て良平に露呈された形になった。
「………………」
灰が机に落ち、我に返った陸は慌てて煙草を灰皿に押し付けた。
けだるげに頬杖をつき、ぼんやりと赤い煙草の箱を見つめる。
「資格がないのは、俺のほうか……」
自嘲し、陸は静かに目を閉じた。
あんな風に良平に啖呵を切ったが、逃げてばかりの自分のほうこそ、嫉妬したり独占欲を感じたりする資格はないのだと。
二本目の煙草に火を点けながら、陸はそう感じていた。
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