忘れ花 2

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※※※※※※※ いつものように着物を着て髪を整えた千波は、最後に昨日陸から貰った彼岸花の簪をゆっくりと髪に挿した。 鏡に映った自分の姿を、角度を変えて何回も見直す。 (………やっぱりすごく映える、これ。ちょっと自分が綺麗に見えたりして) 今から陸と顔を合わせるのが何だかくすぐったくて、千波は自然に緩んでくる頬をグッと引き締めた。 「おはようございます」 台所の暖簾をくぐると、初枝と優子が一斉に千波の元に駆け寄ってきた。 「昨日は大変やったねぇ、千波ちゃん」 「おばあちゃん、大丈夫やってんて? さっき奥様から聞いたわ」 心配げに顔を曇らせる二人を見て、千波は極力明るい笑顔を作った。 「はい、大丈夫でした。ご心配をおかけしてすみませんでした」 「ええのよ、そんなん。でもほんまに何もなくてよかったわぁ」 「はい、ありがとうございます」 優しい言葉にじんわりしながら、千波はぺこりと深く頭を下げた。 (………陸様にもちゃんとお礼言わんとあかんなー。いっつも修羅場に巻き込んでしまってるし……) 突然の良平の登場に、突然の千波の発作。 きっと昨夜は訳がわからないまま、家路についたに違いない。 コーヒーの準備をしながら、昨日は陸に迷惑のかけ通しだったと改めて実感し、千波は申し訳なさで大きく肩を落とした。  
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