ゆく年、くる年 2

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『お兄ちゃんとお姉ちゃん、ラブラブやな!』 先程の大地の言葉が不意に蘇り、陸は少し居心地が悪くなる。 あまり千波のことばかり気にしていると、また大地に何を言われるかわからない。 ただでさえ、噂好き、詮索好き、更にはお節介という厄介三拍子のおばさんばかり揃っているのだから。 陸は小さく溜息をつき、楽しそうに大地と話をする千波からスイと目を逸らした。   7時から始まったパーティーだったが。 1時間半ほど飲み食いをした後、ようやく大地のリクエストでケーキを食べることになった。 友美がケーキを切る間、千波は簡単に洗い物などを片付け始めていた。 いつも感心するが、よく気が付きマメに動く。 ひいき目なしのお世辞抜きで、いい奥さんになりそうだと、洗い物をしている千波の後ろ姿を見て陸はそう思った。 「ケーキ、どうですか?」 洗い物を終えた千波が陸の横に座った。 黙々とケーキを食べている陸が気になったのか、不安げに聞いてくる。 「すごく美味しいですよ。前のチョコのやつも美味しかったけど、今日のもフルーツがいっぱいで美味しいですね」 「ホンマですか?……よかったぁ」 千波は嬉しそうに手を合わせた。  
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