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ぼんやりとした様子で陸を見上げる。
「……あれ? ……陸様。なんれいるんれすか?」
「電気が点かなかったから玄関で寝てるんじゃないかと思って、戻ってきたんですよ!」
「……………」
「……って、千波さん!?」
言っている間にも、千波の瞼がゆるゆると下がっていく。
「ちょっ…、駄目ですって! とにかく布団までは行ってください!」
再び激しく肩を揺すると、千波はコクコクと頷き、へらっと笑ってみせた。
「………はぁい……」
気持ち良さそうに返事をし、四つん這いになったまま廊下の横にある階段へ向かおうとする。
だが途中でペタリと崩れ落ちた。
しかし前に進もうという気力だけはあるのか、そのままモゾモゾと廊下を這い出した。
「………………」
(何のホラー映画だよ……)
まるで、テレビから出てきた貞子のようにズルズルと廊下を進む千波を見て、陸はさすがに呆れ返った。
だが結局奮闘もそこまでだったようで、階段に行き着くまでに千波は再び動かなくなってしまった。
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