ゆく年、くる年 2

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肩を抱き、コートのボタンを一つずつ外していく。 (なんかすっごい、悪いことしてる気分だな……) 千波の熱い吐息が首にかかり、陸の鼓動が速さを増す。 他意はないとはいえ、服を脱がすという行為に陸は妙な罪悪感を覚えた。 ボタンを全て外し終え、千波の腕からコートを引き抜く。 左腕、右腕と順番にそれを繰り返し、コートを脱がし終えた陸はようやく千波の体に布団をかけることができた。 「………………」 疲れ切り、陸はハア~ッと大きな溜息を零す。 ベッドに頬杖をつき、気持ち良さそうに寝息を紡ぐ千波を恨みがましい目で見つめた。   (……ったく。……人の気も知らないで……) 身動き一つしないで眠り続ける千波が、可愛く思いつつも腹立たしい。 いくらなんでも無防備すぎるうえに、これでは襲ってくれと言っているようなものだ。 「………………」 陸はそっと、千波の髪に触れてみた。 ゆっくりと頭を撫でるが、やはり千波は目を覚まさない。  
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