ゆく年、くる年 2

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勢い込んで言うと、友美は少し驚いたようだった。 『あら、陸さん。どないしたん?』 「それが……」 陸は背後を気にしながら、小声になる。 「実はその、今千波さんの家にいるんですが……」 『あらまあ、そうなの?』 何故か友美は弾んだ声を出した。   『了解です。今夜は帰って来ないんやね?』 「………違います!」 先走る友美の言葉に、陸はカッと噛み付いた。 反射的に大声を出してしまい、慌てて声を潜める。 「そうじゃなくて。千波さん酔いつぶれちゃって、家に着くなり寝ちゃったんです。なんとかベッドまで運んだんですけど、俺が帰ったら鍵開けっ放しになるし、どうしたらいいもんかと……」 『あらあら』 友美は少し笑いを含んだ声で相槌を打った。 『……そうやねぇ。開けっ放しは物騒やしねぇ』 「…………はい」 『鍵かけて出てきたら? ポストに入れとくとかして』 「はあ、でも。鍵の場所が……」 『どうやって入ったの?』 「それは、千波さんが自分で開けて……」 『ほんなら、玄関とかバッグの中とか、コートのポケットとかにあるんやないかしら』 「………もし、見つからなかったら?」 『そりゃあ、やっぱり陸さんが一晩泊まってあげなあかんのと違う? 万が一ってことがあるからねぇ…』 「………………」  
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