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「フルーツタルト、実は初挑戦でドキドキしてたんです」
そこでようやく千波は落ち着いたようにフォークを手にした。
大地はとっくに食べ終わってリビングにテレビを見に行っている。
友美と操はおばさん同士会話に花を咲かせていた。
「お正月は、お祖母さんが帰ってくるんですよね?」
「はい。三が日まで外泊許可をいただいたので」
「二日からの出勤は大丈夫なんですか?」
「あ、はい。高松に叔母がいるんですけど、大晦日から来てくれることになってるんです」
そこで千波は嬉しそうに、ニコッと笑顔で陸を見上げた。
「久々にうちが賑やかになりそうで、すごく楽しみなんです」
「………………」
酔って目元を赤くさせながら微笑む千波を見て、陸も同じように嬉しくなり、小さく微笑み返した。
9時を回ったので、千波はそろそろ帰ろうかと腰を上げた。
ケーキ皿を片付けようとして、体がやけにふわふわしていることに気付く。
(………あれぇ。……飲み過ぎちゃった……かな)
体がカーッと熱く、微かに動悸も速い気がした。
「あら、もういいわよ、千波さん」
帰ろうとしている千波に気付き、友美はそう声をかけた。
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