ゆく年、くる年 2

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友美の「よいお年を」の声に送られて、千波と陸は並んで玄関を出た。 家を出たことで、千波の緊張の糸がぷつんと切れてしまう。 それと同時に一気に酔いが回ってきた。 ふらっと足をもつれさせると、陸の手がガシッと千波の二の腕を掴んだ。 「………だから言わんこっちゃない」 ゆっくりと顔を上げると、呆れたような陸の瞳とぶつかった。 千波は懸命に足に力を込める。 「………す、すみません」 「大丈夫ですか?」 「………大丈夫れす」 毅然と答えたつもりだったが、陸は心配げに眉をひそめた。 「大丈夫じゃないですよ。呂律回ってないじゃないですか」 「……………」 「何杯ぐらい飲んだんですか」 「………3、4杯」 「嘘ばっかり。俺が見た限り7、8杯は飲んでましたよ」 「……………」 ボーッとしている千波を見て、陸はヤレヤレと溜息をつく。 「どうしますか? またおんぶしましょうか?」 「……………!」 バッと千波は顔を上げ、ブンブンと首を横に振った。 「大丈夫れす! 歩けます!」 「………ホントに?」 「────はい……」 首を振ったことで目が回り、千波はとっさに陸にしがみつく。 陸は慌てて千波の体を支えた。  
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