ゆく年、くる年 2

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「え?」 「いつもご飯は一人れ食べるから……久々に賑やかれ、めちゃくちゃ楽しくて……」 「……………」 「せやから少し……調子に乗って、飲みすぎたみたいれす……ごめんなさい……」 回らない呂律で嬉しそうにそう言われ、陸はすっかり毒気を抜かれてしまった。   確かにパーティーの最中、今まで見たこともないほど千波は楽しそうだった。 いや、パーティーの最中だけではなく、今日一日ご機嫌だった。 (………まあ、仕方ないか……) そんな千波の様子を思い出した陸は、これ以上千波を怒る気にはなれなかった。 門の前まで来ると、千波は門扉に掴まりながら陸から離れた。 向かい合い、陸に深々とお辞儀をする。 「……ろーも、ありがとうございまひた……」 「いえ」 ますますヤバくなった呂律に吹き出しそうになりながら、陸は答えた。 千波はのろのろと陸を見上げる。 「今年はホンマに、お世話になりまひた…。陸様には、めちゃくちゃ、感謝してまふ…」 「いえ。こちらこそ、お世話になりました」 「来年もよろひくお願いしまふ…」 「はい。よろしくお願いします」 (………多分この一連の挨拶、覚えてないんだろーな……) 苦笑しながら、陸は千波の挨拶に付き合って頭を下げた。  
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