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俺が習ったものは特別な魔法ではなく、小学生が習うようなごくごく単純な初級魔法だ。
それも、すごい練度が高いとかそういうこともない普通に弱い魔法。
火を起こすだけの魔法「ファイア」。
それが世界「最強」と呼ばれるししょーから教わったものだ。
「……なん、で?」
「んぁー?知らねえな。才能がなかったからとかじゃねーすか?」
なんとなくの感覚になるんだが、人と相対すると魔力の量が大まかにだが分かる。
ししょーにはぜんぜん及ばないがナツキたんの魔力は多い。
それも俺の十倍以上はあるとみた。
魔力量なんてよっぽどのことでもなければ減りも増えもしたいので、根本的に才能の差があるとしか言いようがない。
それに扱える魔法の種類、魔法、魔術、魔導も全種使える人もいれば俺のように魔法だけもいるし、何も使えない人もいる。
そういう風なことを考慮すると、俺には、非凡な魔法の才というものがないごくごく普通の男ってことだ。
「……それは、ない。シンスくんは……強い、し」
「まぁ、魔法が下手なわりに強い
のは否定しないッスけどね」
カイトみたいな天才とかには勝てる気がしないがな。
「そういや、ナツキたんはなんで王都の学校に行くんだ?」
「……師匠に、言われたから」
「いや、そういう意味でなくてだな。なんでししょーは、俺たちを王都の学校に行かせようとしてるんだ?っこと」
「……分からない、です」
ん、ししょーはナツキたんにも伝えてないのか……何か計画でも図ってそうだな。
ししょーが俺たち弟子に不利なことをするとは思えないが、一応警戒だけはしておくべきか。
ししょーが何かの計画を企てていたら、その敵対者がいて俺やナツキたんに牙を剥く可能性もあるし。
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