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「シンス……行ってらっしゃい!」
「いや、まだ使いの人来てねーし。飯もまだなんだけど」
朝早めに目が覚めて、やることもなく、一応荷物をもう一度確認していると、突然俺の部屋にやってきた母上が変なことを言い出した。
「いや、よく考えなさいよ。…………ごめん、何言おうとしてたか忘れた」
「そっすか………」
まあマミーが変なのはいつものことなので、スルーが安定だ。
まだ早いのでナツキたんも起きてないはずなので話したりするのもできないし、それに使いの人もいつ来るかが分からないので外に出て時間を潰すことも出来ない。
「暇だな……シエンと遊ぶか……」
寝巻きであるジャージのまま庭に出て、犬小屋……てか、狼小屋の中で寝ているシエンを手でもふもふする。
「何て言うかさ、色々とツッコミたいことあるんだけどさ……。
ナツキたんと俺に対する差別絶対あるよな。
まともな事教えてもらってないじゃないっすか。こんなんであっちの学校行っても通用しないだろ……」
実際、ナツキたんに勝てたのだってナツキたんが極端と呼べるレベルで戦いに慣れていないみたいだったのに加えて、戦い方の相性が良かったのもあるし、地形と距離も俺が有利な状況だったし、俺が体調ばっちしだったのにナツキたんが旅で疲れてたのもある。
実際、普通ならば俺がナツキたんの存在を気づく前に切り捨てられるほど差があった。
……このままでは着いていけないだろーな。
金もなければ生活に必要な物もない。学もなければ力もないし……。何より、個性と呼べる能力がない。
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