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「ん、初めましてだな!えっと……君はフジサキさんかな?」
先ほどまで顔だけしか見えていなかったおっさん、使いの人の見た目を説明するのならば「騎士」というのが一番しっくりくる。
かっこいい甲冑にイケメンや美男ではなく男前というに相応しい男らしい顔付き。
それを見た俺の感想は一つ。
ーーうわぁ殴りてぇ。
紳士として恥ずべき考えであるとは理解しているが、殴りたいと思う。
もてそうな奴は基本敵だし。
「いや、ナツキたんは後ろのぷりちぃガールッスよ」
まぁ、俺はヘタレだからんなことはしないけどさ。
「ん、そうだったのか、間違えてすまなかったねフジサキさん!
それで……シンス君は……何処かに出かけてるのかい?」
「いや、俺シンスッス」
「あっ、そうなのか、すまなかったね!どうやら書類に不手際があったようでね、男子と書かれていたもんだから……っと、言い訳は見苦しいか!」
「いや、俺は男ッスから。
まぁ、これからよろしくッス」
名前不明のおっさん、次から騎士さんとでも呼ぶか。その騎士さんは俺をじろじろと見てから、その視線をナツキたん、母上へと動かしてから口を開く。
そして閉じる。
その後、母様が騎士さんに何か耳打ちをすると騎士さんは納得したかのような顔をしてから俺に笑顔を向ける。
「よし、シンス君!これからよろしく!
お嬢さんは私が責任を持って連れて行くのでご安心ください!」
なんとなく俺を見る目がなまやさしい感じになったのは何故だ。それになんで俺には君付けなのにお袋にはお嬢さんって言ってんだよ。
おっかさん、あんた絶対変なこと言ったよな。
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