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野太刀を見るのを止めにして、腰にぶら下げるにしても背中にかけるにしてもそれ用のものがないので手で持って歩く。
「おっ、もう着くぞ!」
俺が思っていた宿が見えてきて、騎士さんが大きな声で俺たちにそれを知らせる。
「……すご」
馬車を見たナツキたんが俺の気持ちを代弁するかのような感想を漏らす。
いや、外人さんであるナツキたんが母国の言葉ではなくここの言葉を言ったということは漏らしたわけではなくて、声は小さいが普通に感想を言っただけなのか。
何にせよ、馬車を見た感想は「すごい」という単純なものだ。
さすがは国からの使いと言ったところか。
無駄に豪華というアホらしい造りというわけでもなく、ある意味で質素とも取れるほど飾り気のない見た目だが、使われている木材はトレントと呼ばれる木型の魔物の物であり、普通の木材よりも堅く火や湿気や乾燥や虫害などにも強いという高級な木材がふんだんに使われている。
だが、そんな物は大したことではない。
一番注目すべき箇所はそんな分かりにくく、俺のように少しは知識があるものでなければ違いが分からない程度の物ではない。
でかい。それを運ぶであろう馬も。それも半端ではなくでかい。
一応街道を走ることは出来るだろうが、街道でも一番の大通りで出店がなければ通れるレベルだろう。
馬に至っては馬というよりは象というほどの大きさだろう。
なるほど、通りで朝早くにやってきた訳だ。
人通りが多ければ色々と迷惑がかかりそうだし。
家の近くの宿屋でなかった理由はデカすぎて入らなかったからか。
この街一番でかい宿屋とはいえ、こんなサイズの馬車を入れれる場所があるってことは、結構これぐらいの馬車は普通にあるものなのだろうか。
「てか、窓あるし、二階建てかよ」
馬車って二階建てのもあるのか。
王都と田舎でもないが都会でもないこの街の差は思ったよりも大きそうだ。
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