人並みの技術と天才の馬鹿

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「まぁ、王都に行ったあとに新魔法の治験でもしたら?結構短い間で稼げたでしょ?」 「息子に治験を勧める母親とか……」  いや、まぁ息子のために最善を尽くしているとも言えなくはないから仕方ないけど。借金とかされたらされたで将来困りそうだし。  普通に魔物の討伐とかの依頼をギルドで受けるか……。ちょっとずつ貯めたらベッドとか、タンスとかも買えるだろうし。別になくても生活出来なくはないし、うん、大丈夫だ。 「あっ、あとこれも来てたよ」 「もう一通……?って、ししょーからか……」  子供のころに俺に魔法とかを教えてくれた、変なおっさんことししょーからの手紙だった。 内容は……お偉いさんに働き掛けて俺を国立の学校に行かせることと、俺以外の弟子をここに送ってくるってことらしい。  流石ししょー、意味分からん。 「とりあえず……友達に挨拶してくるよ」. 「あんたに友達なんていないでしょ」  えっ、何これ?泣いていい?  涙をこぼさないようにしながら、外に出る。  あいつならギルドの訓練室にでもいるかな。 「じゃあ、散歩がてらに行くか。 ほら、行くぞシエン」  庭で昼寝をしている茶黒い狼を起こして、ギルドに向かう。 茶黒い狼「シエン」は、魔物である。 魔物と何かしらの方法で心を通わせ、その「魔物の力」を手に入れる魔法。契約魔法によって俺と契約している。  まぁ別段珍しい魔法でもないためにこうして街中で散歩していても目立ったりはあまりしない。 シエン自体、ウルフという街からでるとどこにでもありふれた魔物のようなものだし。
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