人並みの技術と天才の馬鹿

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 たくさんのおっさん達がいる場所を越えて、訓練室に向かう。  酒場兼依頼受付になっている入口付近とは違って、金属と金属がぶつかり合う音や魔法の詠唱が聞こえる程度で明らかに入口よりも静かだ。 その中の一室、いつも友人のカイトが使っている部屋に入る。 「あっ、シンスたん」  俺の方を見て、トチ狂ったのかと思えるようなあだ名……というか敬称で呼ぶ金髪のイケメン。 名前はカイト。 圧倒的な魔力量と豊富な属性を持つギルドの実力者だ。二つ名は……なんだっけ?忘れた。 「誰がシンスたんだ! ……今日は、ちょっとした報告があるんだ」 「ん?何?」 「俺、明日から王都の学校に向かうから」  カイトは「へっ?」なんていう間抜けな声を出して俺を見詰める。 「嘘だ。絶対嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だあり得ない嘘だ嘘だだって急すぎる嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」 「いや、マジマジ」 「えっ、マジなの?」  キャラが上手く固まっていないカイトに理由などを説明する。 「マジか……王都にはなんか色んな事件とかあるらしいから気をつけなよ?」 「事件?」 「あぁ、何でも、悪い吸血鬼が出るとか……魔王が復活するとか……女の子が幼女になる病気が流行ってるとか……色々」  何それやべえ。王都超行きたい。早く行きたい。
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