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「まぁ、そういう訳で別れの挨拶にきたんすよ」
「そうか……最後に決着をつけにきたのか……」
「いや、そんなライバル設定ないから。あっ、なんか餞別くれよ」
俺の催促を聞き、訓練室の端に置いてあったカバンに向かう。
そして、二つの肉まんを俺に投げ渡す。
「新しい学校ではこれを……俺だと思って胸に詰めといてくれ!あとついでにスカートとか履いてさ」
えっ、いや、何故女装を勧める。
それにカイトだと思って胸に詰めるってどういう状況だよ。怖いわ。
「……まぁしないけど、荷造りとかするからとりあえず帰るわ。またあっちに着いたら電話するから」
「絶対しろよ?しないと泣くぞ?」
「えっ、あっ、うん」
妙にテンションが上がってるカイトを横目に見ながら離れる。
俺、意外と嫌われてるのか?それともただアホだからテンション上がってるだけか?分からんな。
ギルドを出て、薄暗くなっている帰路を歩く。
家の前に人影……。
黒い地面にまで付きそうな長髪に、見慣れない服装。そして130程度しかなさそうな小さな身体……。
この子が……ししょーの弟子……か?
「……あなたが……シンス、くん?」
どうやら間違いではないようだ。
もし、母上が俺に手紙を渡すのが二時間遅れてたら告白しにきか何かかと勘違いしてそうだな。
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