人並みと神速

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 黒髪の少女がこちらを見据えて、腰に下げた薄い木刀を握る。  なんか……ちっちゃくて可愛いですこの子。なんか超好みです。 「……話は……聞いてる?」 「えっ、あぁ聞いてるよ」  俺のとこにお弟子さんを送るって話だったよな。 それにしてもこんな可愛いロリっ子を送ってくるって……マジリスペクトですわししょー。 「……じゃあ……いざ、尋常に……勝負……」 「は?勝負……?」  黒髪の少女は、木刀を構え……そして消える。 攻撃がくる。そう感じた瞬間に俺は一歩後ろに下がり、手を前に突き出す。 消えた少女の頭が俺の手にすっぽりと収まるように入っていた。  身体強化魔術?いや、それにしたら力が弱すぎる。  魔法、には大別して魔法と魔術、魔導というものがある。 内なる力を属性と呼ばれる特性を付与して外に影響を与える魔法、 内なる力をそのままの力で外に放ったり、内側を強化する魔術、 外の力を操り導く魔導。  誰でも好きに使える訳ではなく、才能や努力に影響されてしまうので人によって変わる。 俺だと、魔法は使えるが魔術や魔導は使えないように様々だ。  そして、この黒髪のベリーキュートでぷりちぃな女の子が使ったものは、おそらく魔術。 魔法には詠唱もしくは魔法陣が必要だし、何より急加速する為には「風で身体を動かす」のようなものが必要なので分かりやすいが、その様な様子は一切ない。 つまり、単に身体能力が上がって あの動きをした可能性が高い。  だが、不自然なのは普通の身体強化ならば腕力や体重や硬さも強化される。 今の様な速さで突っ込んで来られたら手で頭を掴んで止めるなんてことは不可能だ。
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