コピーとスパイ

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「葉山君。 フリーマーケットに行ってみないか?」 休日。 珍しく川崎さんから電話があった。 夜の付き合いが主な彼から、昼間のデートのお誘い。 どういった風の吹きまわしかと思いながらも、私はそれを了承し、格段お洒落をする訳でもなく仕事の日と何ら変わらない服装で川崎さんと出会った。 私は女を捨て始めているんだろうか。 何度も服を着替えなおして少しでも良く見られたいだとか。 そんな努力をする気はない。 あれ? そういえば……。 フリーマーケットって単語を、最近どこかで聞いた気がするな。 どこだっけ……? そう思いつつも、特別気にするような事でもないかと、私は直ぐにそれを頭の隅っこに追いやった。 「へぇー。 こういう所は初めて来たんですけど、凄い人ですね」
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