君を守りたい

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「発作が起きる度、思うんです。……これって、一人だけ生き残った私への罰なのかな…って」 「……………!?」 驚いた陸は大きく目を見開く。 「………千波さん?」 「あの日からずっと、ずっと思ってたんです。……なんでみんなと一緒に死なれへんかったんやろうって」 一度落ち着いたように見えた千波だったが、その言葉でまた涙を溢れさせた。 「なんで私だけ、生き残っちゃったのって。……みんなもそう思ってるから、だから……」 「千波さん……!!」 堪え切れなくなり、陸は途中で千波の言葉を遮った。 陸の大声に、千波はビクッと体を揺らして口を噤んだ。   「本気でそんなことを思ってるなら、あなたは馬鹿です」 「………………」 少し怒気を含んだ陸の声色と、馬鹿という強い言葉に千波はびっくりしたように目を見張った。 いつもは気の強そうな目からハラハラと涙が零れ落ちるのを見て、何故か陸も泣きそうになってしまう。 「あなたがそんな風に考えていると知ったら、お祖母さんだって哀しみますよ。……きっと、天国のご両親も、弟さんも……」 「……………!」 「千波さんだけでも助かって、みんな喜んだに決まってるじゃないですか。……そんなこと、俺にだってわかりますよ」 震災以来、千波がずっとそんな思いを抱えて生きてきたのかと思うと、胸が痛くて。 その呵責が発作の原因なのだとしたら、あまりにも哀しすぎる……。 「で、でも……」 陸の腕の中で、千波は不安げに身じろいだ。 「空はいつも通り2階で寝てれば助かったかもしれないんです。……ぐずる空を私がなだめて引き止めてたら、せめて空だけでも……」 「確かにそのことは、不幸な偶然だったかもしれない。……でもそれは、千波さんのせいではないでしょう」 「………………」 「そのことであなたが負い目を感じることなんか、何もないんです」 千波の肩を強く掴み、陸は真っ直ぐに千波の瞳を見据えた。  
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