君を守りたい

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散乱した本を片付けた後、陸は一緒に本を探すのを手伝ってくれることになった。 横に並んで作業をしながら、千波は棚に向かったままポツリと口を開いた。 「………証さんの名前、そんな素敵な意味が込められてたんですね」 陸は一度チラッと千波に目を向けた後、笑って頷いた。 「はい、そうですね。俺も最近まで知りませんでした」 「………でも、誤解が解けてよかったですね。そんな……望まれて生まれたんじゃないなんて思いながら生きてきたなんて……可哀相すぎます」 「………………」 千波の言葉に、陸は苦笑を浮かべる。 「わかってないなぁ。……千波さんだって同じだったんですよ」 「…………あ」 ハッとして、千波は口元を手で押さえた。 「………ホンマ。……ホンマですね」 「でもそういうのって、第三者から見たら馬鹿げたことでも、当事者にとっては深刻なことだったりするんですよね」 「………………」 「………深く何も考えずに、相談できる相手が常にいればいいんだろうけど」 そう言った後、陸はどこか遠い目になった。 「まあ、今のあいつには柚子さんがいるからな……」 柚子の名前が出て、千波はドキッとする。 地震が来る前、ずっと陸の柚子への想いについて鬱々と考え込んでいた。 もしかしたらそれが原因で、発作を起こしてしまったのかもしれない。 「………………」 モヤモヤした気持ちを抑えることができず、千波はパッと横にいる陸の顔を仰いだ。  
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