君を守りたい

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(……っあ~、緊張した……) 陸と別れて家までの坂道を登りながら、千波は熱くなった頬を両手で押さえた。 あの新年会の日から必要以上に意識してしまい、上手く陸と話せなくなってしまっている。 顔を見る度にあのネクタイ越しに交わしたキスを思い出し、ドギマギしてしまうのだ。 (………でも、そっか。お見合いせーへんのか……) 陸の口からきっぱりとお見合いの話を否定されたことで、千波はどこかホッとしていた。 もっとも、またいつ何時そんな話が浮上してくるかはわからないのだが…。 (約束の日まで……あと二週間……) 家に戻りコートを脱ぎながら、千波は壁に掛けているカレンダーに目を向けた。 あれからなかなか良平と連絡が取れなかったのだが、ある日突然メールが届いた。 1月中は忙しくて会えそうにない、と。 さすがに五年も付き合って、最後に電話で別れ話というのも後味が悪い気がして。 だったら会えるまで待つと返事をした。 すると良平から、2月の始めの日曜日なら会えると連絡があった。 一瞬、もう千波の気持ちがわかっていて逃げられているのかとも思ったが、会う約束ができたことで少し安堵した。 良平自身、真綿で首を絞められているような今の状況は辛いはずなのだから、振るならさっさと振ってほしいというのが本音だろう。 千波の気持ちがもう自分にないことは、付き合いの長い良平が一番わかっているはずなのだから……。  
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