適齢期の選択 2

5/40
2094人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「………そ、それは……」 「迷ってるってどういうことですか? ちゃんとけじめを付けるって言ってたじゃないですか!」 「………………」 「けじめを付けるって、結婚するって意味だったんですか…!?」 始めは驚き、ただ呆然としていた千波だったが。 責められるような言葉を投げられるうち、言いようのない理不尽さに徐々に憤りを覚え始めた。 (………またや……) 千波は強く唇を噛み締める。 新年会の日も、初詣で良平と一緒にいたことを追及され、その後訳のわからない言葉をぶつけられて、到底理解できないような行為をされた。 こんなことを繰り返されると、万が一にでも自分のことを想ってくれているのではないかと錯覚してしまう。 言葉では何も決定的なことは言わないのに、一体どんなリアクションをすればいいというのだろう一一…。   激しく苛立ち、千波はキッと陸の顔を睨み付けた。 「私は、陸様の何なんですか…!?」 強い口調でそう切り返され、陸はぐっと言葉に詰まる。 何と答えていいのかわからずすぐに返答できずにいると、それに苛立った千波は更に言葉を続けた。 「陸様に、三十路手前の女性の複雑な気持ちなんか、わかるはずありません…!」 「……………!?」 「周りの友達はみんな結婚していって、置いてきぼりにされてるような焦る気持ち、わかりますか…!?」 顔を真っ赤にして興奮気味に叫んだ千波を見て、陸は千波の肩を掴む手に力を込めた。 「だからって、彼を許せるんですか? 裏切られて、情緒不安定になるぐらいあなたは傷付いていたじゃないですか!」 「……………!」 一番触れてほしくなかった部分を糾弾され、千波は言葉を失う。 そんなことは、陸に言われるまでもない。 それでも捨て切れない情があったからこそ、今まで苦しんできたのだ。 「………たった一回の裏切りで、五年間をまるっきり無くす決断をするのは簡単じゃないんです!」 「………………」 「私かってそんなこと…っ」 声を荒げながら目に涙を浮かべた千波を見て、陸はハッとする。 興奮しているのだと気付き、落ち着かせようと肩を抱く手にぐっと力を込めた。  
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!