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気がつけば、森の中に倒れていた。
先程まで冬木市のものとはまた別の聖杯戦争に参加していたはずだが。
「ふむ。サーヴァントである私が受肉しているとはな。」
二度目の生には興味はない。ただ、私――英霊エミヤとなる前の衛宮士郎を殺すという目的さえ果たせれば良かった。
が、どういうわけか先程までとは全く違う、見知らぬ場所にいた。
ふと、思考の海に溺れそうになる瞬間、鋼の打つ音が聞こえた。
「どこに行っても戦い、か。」
英霊エミヤである私は、世界の抑止力となるため、召喚される場所では必ず戦いがあった。
いや、戦いというには語弊がある。
ただの一方的な殺戮。
ただ一人の魔術師が街一つ分の一般人を利用して己の野望を果たそうものならその一般人を消し、魔術師をも消す。
そういうことを繰り返す度に私の肉体、精神、果ては理想すらも削れていき、残ったのは理想に裏切られた現実だけだった。
「何にせよ、向かわねばなるまい。」
誰に言うでもなく、音の元へと向かった。
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