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……だよね。僕にも分からないよ。あいつがああまで怒る理由。
でも確かなのは、あいつは今、娘さんのために怒ってる。全然面識なんてないのにね。お節介な話だよ。
ただね、本当にいいやつなんだ。だから、しっかり見といてやってよ。君のために必死こいてるあいつをさ。
× × ×
おかえり。随分怒ってたけど、おじさんはなんて?
……そう。今からみんなに謝るんだね。よかったよ。これで一件落着というわけだ。
ということは、薫くんにもすぐにお呼びがかかるということか……。うん、しっかり謝ってもらうといい。
さて、そうなると僕らはここでお別れだね。
ん? どうしたんだい薫くん。
ふむ、ご飯ね。確かに炎天下を歩き回って空腹ではあるけど…………、ああ、なるほどね。
こいつともうちょっと一緒にいたいわけか。
おや、違うのかい? またまた、そんな照れなくてもいいじゃないか。
あーはいはい。分かった。分かったよ。恩返しね。了解。そういうことにしておくよ。
……さ、そういうことらしいけど、君はどうする? 僕としてはどっちでも構わないけど。
……ほう、意外だね。てっきり行くものと思ってたけど、なんでだい?
なるほど。ちゃんと謝らせたいってことか。うん、僕も賛成だ。それがいいだろう。
というわけで薫くん。悪いけど食事のお誘いはやめておくよ。今日は、謝りにくる花屋のおじさんをしっかり受け止めてあげてほしい。
……でも、そうだな、明日であるなら都合はつけられるよ。出発は明後日だからね。
君ももちろん大丈夫なんだろう? なんといっても、『ド田舎だからゲーセンもない。暇すぎてどうしよう』なんて嘆いていたんだからね昨日まで。
……よし。決まりだね。なら明日、そうだね、あの雑木林に集まるとしようか。明日は好きなだけ昆虫採集ができるよ。ミヤマでもコクワでもね。思う存分童心にかえろうじゃないか。
ふふ、じゃあね薫くん。また明日。
………………
…………
……。
さて、僕らも帰るとしようか。
ん? どうかしたかい?
…………ああ、そうだね。
でもきっと大丈夫だよ。君にああまで叱られればね。
僕らがまた帰ってくる頃には、笑い話になってるだろうさ。
行こう。正直もう腹ぺこでね。少し早いけど、今日の報酬は君ん家の晩御飯で頂くとするよ。
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