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「寒いですか?」
少しずつ肌が外気に晒されるにしたがって千波の体が強張っていくので、陸は一旦手を止めてそう聞いた。
強く閉じていた目を開け、千波は陸の顔を見上げる。
「…………え?」
「なんかすごく体に力が入ってるから」
「………………」
体に力が入っているのは緊張と恥ずかしさからだったのだが。
言われてみれば、確かに寒い。
外は雪が降っているのだから当然といえば当然だが、それすらも気付かないほどに神経の全てが陸に向いていたことに千波は驚いた。
「………少し、寒いかも」
掛け布団の上に折り重なっていた二人は、同時に身を起こした。
千波は少し体を移動させ、下に敷いていた掛け布団を捲り上げる。
「布団の中、入りましょうか」
「…………はい」
シングルベッドなのでそれほど広さに余裕はなく、千波は壁際まで身を寄せた。
続けて陸が布団の中へと入ってきた。
(………わ。陸様、体熱い……)
同じ布団に入ったことで、陸の体温がとても高いことがわかる。
千波と同じように、陸も寒さを感じないほど昂ぶっているのかと思うと、くすぐったいような嬉しさが込み上げてきた。
その時、陸が布団の中に頭まですっぽりと潜り込んだ。
びっくりした千波は思わず身をすくませる。
「り、陸様?」
「………俺は熱いから、先に脱ぎます」
こもった声が返ってきて、布団の中で陸がもぞもぞと動く気配がした。
しばらくして足元のほうから、バサッと服が床に落ちる音が聞こえた。
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