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僕らを繋ぐ花紐がほぐれ、また元のそれぞれの花に戻る。花は、僕達の額や胸や腕や足に張り付き、溶け込むように浸透する。
ひまわりだけは姫のお腹にぴとっとくっついた。僕達は互いの目を見た。その瞬間に、ひまわりはすぅっと姫のお腹に吸い込まれていった。
待っていてね……
待っていてね……
可愛らしい声が聞こえる。これは誰の声だろう……。
僕は姫の肩を抱いた。姫も不思議そうな顔で自分のお腹と僕の顔を交互に見ている。
二匹のハムスターが、それぞれわちゃわちゃと頬袋から笛を取り出した。
二匹は息を合わせて笛を吹く。するするっと姫の髪は元の長さに戻っていく。見れば僕のプギオも元通りだ。
二匹は、華々しいファンファーレを吹き鳴らす。
空から立派な鉄扉がどーんと落ちてきて、がががっと音を立てて開いた。
ひゅんと扉の向こうに吸い込まれる僕と姫。
僕達の体は離れ離れになってしまった。
嫌だ。離れたくない。
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