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また、何か先を越されてしまいそうで俺は勢い込んだ。
彼女はふふっと笑う。「今まではね」
それから
妙にきっぱりと彼女は言い切った。
「でも、違った。そうじゃなかった」
「うん……ぇえ?何?何で?違うって、何?」
彼女はベビーをじっと見つめる。ベビーも彼女の乳を必死に飲みながら、彼女の顔を見つめている。
「この子を産むために、私は生まれて来たんだなって……。だから、生まれてきて良かったなって」
「……。」
「だからね、あなたも、生まれてきてくれて、ありがとう」
彼女はそう言って、俺を見た。
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