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住職の面前に着いた瞬間、法蓮は居合い抜きで住職の正面を切った。
“シャッ”
“カチ”
すぐドスを元通り金剛杖に戻した。
「ム・・・？」
住職の体は全くダメージを受けていない。
住職は切られなくてホッとしている。
法蓮は驚いた。
「あなたはどうやら普通の人間のようですね。取り憑かれてもいない」
住職は再び余裕の笑みを浮かべた。
「ホホホ。物の怪に取り憑かれていると思いましたか？ 私は正真正銘、普通の人間です」
「では何故僧侶であるあなたが悪霊に手を貸して、復活の呪符を作ったのですか？」
住職はただ一言言った。
「慈悲です」
「慈悲？」
仏教における慈悲とは一般でいうところの愛のことである。
仏教では愛は欲望であり執着という否定的な意味になる。
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