摂氏100℃の微熱

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直後、ニーッと不適な笑みを浮かべる。 ゾッと千波の全身の肌が粟立った次の瞬間、みどりは窓口から大きく身を乗り出した。   「こんにちはー、倉橋事務長ー」 目の前の千波を飛び越して、みどりは事務所の奥にそう声をかけた。 奥のデスクで仕事をしていた事務長が、みどりに気付き慌てて窓口へと小走りで駆けてくる。 「これは柏木のお嬢さん、こんにちは。久しぶりですなぁ」 「こんにちは、倉橋事務長。今日は花粉症の薬をいただきにきたの」 「ああ、そうですか、今の季節は辛いですなぁ」 「ええ。……それでね、倉橋事務長」 みどりはニッコリと笑い、千波のほうへと顔を向けた。 「こちらのかたと知り合いですの、私」 「えっ。あーあ、そうでしたか」 「ええ。随分と久しぶりに会ったものですから少しお話したいんですけど、15分ほどよろしいかしら?」 「ああ、どうぞどうぞ。ゆっくりとお話してきてください」 二人のやり取りを唖然と見つめていた千波だったが、事務長が快諾した言葉にギョッと飛び上がりそうになった。   (嫌やーっ!! 私は何にも話なんかないよーっ!) みどりと関わってただの一度も気分のよかったことなどなかった千波は、激しい拒否反応を示した。 一体、この女は何者なのか。 いや、エメラルドホテルのご令嬢に間違いないが。 まさかこんなところにまで顔が利くとは、思わないではないか……。  
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