摂氏100℃の微熱

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「はあ~、もうすぐ春やねぇ……」 強引に千波を事務所から引っ張り出したみどりは、中庭のベンチに腰を下ろしながら気持ち良さそうに空を仰いだ。 昼近くの陽気は麗らかで、確かにポカポカと気持ちがいい。 ………反して千波の気分は最悪だったが。 (………なんでここで、この人と季節の移り変わりを堪能せなあかんの……) 千波はベンチには座らず、そわそわとみどりの前に佇んでいた。 空を仰いでいたみどりはゆっくりと千波に首を巡らす。 「…………陸さんと、うまくいってへんの?」 いっそ気持ちいいくらいに、みどりは遠慮なくズバッと核心を衝いてきた。 あまりの直球に、千波はうっと言葉に詰まる。 みどりはベンチに両手を付き、足を組んでジッと千波の顔を見つめた。 「………わ、私と陸様は、うまくいくとかいけへんとか……そんな関係じゃないですから……」 ようやくそれだけを言うと、みどりは眉をひそめて首を捻る。 「あなた、陸さんのこと好きなんでしょう?」 「………………」 カッと千波の顔が赤くなるのを見て、みどりはハタとあることに思い当たったようだった。  
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