摂氏100℃の微熱

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「嫌や、まさか……私のせいとか言わへんよねぇ? バレンタインの日のことでモメたとか、そんなこととちゃうわよね?」 「………………」 青い顔で目を逸らしてしまった千波を見て、みどりは呆気にとられたように口をあんぐりと開けた。 「ちょっと……嘘でしょう……?」 「…………………」 「何やってんのよ。まさかそれでケンカして職場変わったなんてことは……」 「そ、それは違います!……退職することは、元々決まってたんです!」 慌てて千波はみどりの言葉を否定する。 春の陽気に誘われたように、どこかから場違いな鶯の鳴き声が聞こえた。 千波は俯いたまま、ポツリと口を開いた。 「………陸様とぎくしゃくしてるのは、ほんまです。……でもそれは、みどりさんのせいじゃないんです。確かに引き金にはなったけど……遅かれ早かれ、出てきた問題やったんです」 「…………………」 「私達は多分……圧倒的に、言葉が足りひんかった……」 訥々と千波が話すのを、みどりは黙って聞いていた。 話しながら、もう何度目かわからない後悔の波が、千波の胸に押し寄せる。  
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