摂氏100℃の微熱

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全てを言い終える前に千波はみどりに駆け寄り、その腕を掴んでいた。 虚を衝かれたみどりは目を丸くする。 「……っ、それ、ホンマですか!? 来月って、いつから行くんですか…!?」 「………………」 千波の剣幕に気圧されたように、みどりは体をのけ反らせた。 思い詰めた千波の目を見て、静かに首を横に振る。 「さあ、そこまで詳しくは知らんわ。もう私には関係のない話やし」 「………………」 「気になるんやったら、自分で本人に聞いてみたら?」 やんわりと掴まれた腕を解き、みどりはにべもなくそう言った。 千波はのろのろと力なく、解かれた手を下げる。 「ほんなら私、帰るから。……じゃあね」 軽く手を上げ、みどりは踵を返して颯爽と歩き始めた。 カツカツとヒールの音を派手に鳴らしながら遠ざかっていくみどりの背中を見つめながら、千波のこめかみを一筋の汗が流れ落ちた。 (………陸様が……いなくなっちゃう……?) 全く予想もしていなかった事実に。 千波はすぐには動くこともできず、しばらく打たれたように呆然とその場に立ち尽くしていた。  
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