摂氏100℃の微熱 2

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(……………え?) ようやく顔を見せた千波と目が合い、陸は穏やかに微笑んだ。 「────俺、仕事決まったんです」 「………………!」 驚いた千波は大きく目を見張る。 陸は笑顔のまま、ゆっくりと頷いた。 「伯父の紹介で、役所関係の仕事をすることになりました。来月の頭から、そこで働きます」 「………………」 「あなたに伝えたいことがあったけれど、仕事が決まったら伝える…って、決めていて。……それは自分なりのケジメのつもりだったんですけど、それにこだわり過ぎてしまって……大事なことを見落としてしまっていました」 食い入るように自分を見つめる千波を見て、陸はふと真顔になった。 そうして一歩、千波へと足を踏み出した。 「千波さん」 真面目な声で名を呼ばれ、千波は無意識に姿勢を正す。 陸はジッと千波の瞳を見つめた後、少し緊張気味に口を開いた。 「もう一度、五十嵐家に来てくれませんか」 「……………!」 驚いた千波がハッと目を見張ると、陸は大きく頷いてから千波の両手を握りしめた。 そうして、今まで千波に見せてきたどんな表情よりも甘やかに微笑んだ。 「今度は、俺の嫁さんとして」  
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